タテジマとファイブアローズに魅せられて

　ここまでの戦いは、常葉菊川高校が堅実に勝ってきたとすれば、静岡高校は打力で相手をねじ伏せてきたという感じだ。

　甲子園に行けば好投手がたくさんいるので、県予選を打力で勝った高校には期待しないことにしているが、今年の静岡高校は点数的には並の打力ではなさそうなので、これはこれで楽しみ。

　一方の常葉菊川高校はドラフト候補が何人かいるチームで、勝ち方を知っている感じがするチーム。

　どちらが出てもきっと面白い試合をしてくれると思う。怪我人が出ないように、そして全力でプレーしてほしい。

　というようなことを書いて終わるわけがない。俺の母校について書く。

　俺の母校は野球が弱い。ハッキリ言って弱いのだ。それは俺が高校生の時もそうだった。組み合わせが決まると俺たち生徒の間では「今年は何回まで試合をするだろうか？」が話題だった。何回戦ではない。何回！つまり何イニング持つか？！ということである。

　文化祭では練習試合と称して野球部がグランドで試合を行う。それも「よくもまぁ、探してきたもんだ。」と思えるくらい、自分たちよりも弱い学校を探してくるのだ。そしてかろうじて勝つという試合をやっていた。

　そのチーム、俺が通っていた３年間で２回コールド負けをしている。２回である。この２回は２イニングという意味ではない。３年のうち２年という意味だ。

　なので応援も気合が入らない。早く終わってくれないかと思っていたものだ。

　ある試合など、ピッチャーが力みまくってストライクは入らないわ、甘く入って打たれるわ・・・ってことで、応援団がその投手のコールをしたところ、さらに力んでメタメタになってスタンドが静まり返ったということもあった。

　またある年などは運悪く、くじ運の関係で１回戦は偶然にも弱い学校同士で９回までギリギリの戦いで勝ち、喜んで２回戦に進んだらシード校と当たってしまったという年があった。

　この試合は悲惨だった。試合時間は１時間３０分くらいなのだが、そのうち１時間以上が相手の攻撃の時間だった。しかも相手は全員が背番号２ケタの選手。つまり普通に考えれば先発全員が控え選手だったということになる。そのメンバー相手に堂々の５回コールド負け。それでも相手のエラーに絡んで終盤に１点だけはスクイズで獲った。そんな試合だった。

　静岡県大会は、５回１０点差以上、７回以降は７点差以上でコールド負けになる。でもその時はそんなの関係無い。もう頼むから試合開始前にコールドにしてくれ！！そう心で叫んだ試合だった。そりゃぁ野球は何があるかわからない。でもいつも思うのだが、目標が「甲子園出場！」と言っている学校と、「１回戦突破」などと言っている学校が対戦していいのか？と思うことは、正直言ってあるのだ。

　ということで、俺はそういった応援させられる試合は本当に苦手だ。その俺がタイガース戦に限っては喜んで応援に出かけている。暑かろうが雨が降ろうが関係ない。とにかく応援に行く。結局、好きかどうかってことだなぁ。

　今年から３年間は、普段関西でお世話になっている方の身内の方が静岡県内の高校で野球をされているということなので、そういう試合なら喜んで応援に行けるので楽しみにしている。