それはまるで万華鏡のように
井川投手が投げる。序盤は非常に不安定でどうしよう?なんて思っていたが、尻上がりとはこういうことをいうのか?とにかくそんな感じで投げ込んでいった。
風で苦労したのはお互い様で、意外にも千葉の選手たちも苦労していたように見えた。浜風とは違う千葉の風だった。
井川投手好投の影に野口さんのリード。懸命に井川投手の気持ちを切らさないように丁寧に投げさせ、返球にも気持ちを込める。
風で苦労したのはお互い様で、意外にも千葉の選手たちも苦労していたように見えた。浜風とは違う千葉の風だった。
井川投手好投の影に野口さんのリード。懸命に井川投手の気持ちを切らさないように丁寧に投げさせ、返球にも気持ちを込める。
そのリードは9イニング1失点という普通の試合なら勝利投手ものの結果を引き出した。
最初に一発を出したのは今岡選手。昨日はホームランでも厳しい顔でのお立ち台だった。しかし今日の打席ではどうだ!ホームランを打ったあの打席、そこにはまるでチャンスを迎えたときの昨年の今岡選手の表情と下唇があった。その突き出した下唇の顔で放った打球は低い弾道ながらレフトスタンドに飛び込んだ。どうやらシュートを打ったときに右の親指を痛めたらしい。ベンチに帰ってからはトレーナーの方に指を診てもらっていた。しかし痛み以上のもの(意欲)をタイガースにもたらした。
そして延長での桧山選手。恐らく本調子では無い球児投手が、それでも速球のキレと荒れ球で切り抜けたイニングの後、桧山選手が打席に入った。
初球が甘く高めに入る。しかし桧山選手は振らない。「あぁ!あれを振ってくれよ!!」と声を上げる俺。それでも次のスイングから放たれた打球はライトスタンドに飛び込んだ。
先週末の甲子園ではあれほどフェンス前で失速していた打球。それがこの日は失速せず、これもまた今まで何回も見た桧山選手らしい高くて大きな軌道を描いてスタンドに飛び込んだ。
最後は久保田投手。それは「劇場」なんて言葉とは無縁なくらい、静かに幕を下ろした。
千葉マリンの呪縛。昨年の秋のことをおそらくみんながどこかで感じていたこと。それを振り払ったのは井川投手と野口さんと今岡選手と桧山選手の生き残るための意欲だった。
俺はこんなもんじゃない。俺は控えで終わる選手じゃない。ここで終わってはいけない。ここで終わるわけには行かない。そんな4人の意地が複雑に、しかし見事に交錯し、形を変え、向きを変え、回転しながら模様を替えた。それはタイガースだけじゃなくて、連勝中で実力を発揮している千葉ロッテにも当てはまった。そう、それはまるでお互いが織り成す模様を見せる万華鏡のように。
あまりに複雑で絡み合う試合展開を「戦いの万華鏡」と表現したのは古館伊知郎アナウンサー。でもその言葉がプロ野球の世界にもあった。
少なくとも平成18年5月23日の千葉マリンスタジアムにはあったことだけは確かである。それくらいの好ゲームであった。
最初に一発を出したのは今岡選手。昨日はホームランでも厳しい顔でのお立ち台だった。しかし今日の打席ではどうだ!ホームランを打ったあの打席、そこにはまるでチャンスを迎えたときの昨年の今岡選手の表情と下唇があった。その突き出した下唇の顔で放った打球は低い弾道ながらレフトスタンドに飛び込んだ。どうやらシュートを打ったときに右の親指を痛めたらしい。ベンチに帰ってからはトレーナーの方に指を診てもらっていた。しかし痛み以上のもの(意欲)をタイガースにもたらした。
そして延長での桧山選手。恐らく本調子では無い球児投手が、それでも速球のキレと荒れ球で切り抜けたイニングの後、桧山選手が打席に入った。
初球が甘く高めに入る。しかし桧山選手は振らない。「あぁ!あれを振ってくれよ!!」と声を上げる俺。それでも次のスイングから放たれた打球はライトスタンドに飛び込んだ。
先週末の甲子園ではあれほどフェンス前で失速していた打球。それがこの日は失速せず、これもまた今まで何回も見た桧山選手らしい高くて大きな軌道を描いてスタンドに飛び込んだ。
最後は久保田投手。それは「劇場」なんて言葉とは無縁なくらい、静かに幕を下ろした。
千葉マリンの呪縛。昨年の秋のことをおそらくみんながどこかで感じていたこと。それを振り払ったのは井川投手と野口さんと今岡選手と桧山選手の生き残るための意欲だった。
俺はこんなもんじゃない。俺は控えで終わる選手じゃない。ここで終わってはいけない。ここで終わるわけには行かない。そんな4人の意地が複雑に、しかし見事に交錯し、形を変え、向きを変え、回転しながら模様を替えた。それはタイガースだけじゃなくて、連勝中で実力を発揮している千葉ロッテにも当てはまった。そう、それはまるでお互いが織り成す模様を見せる万華鏡のように。
あまりに複雑で絡み合う試合展開を「戦いの万華鏡」と表現したのは古館伊知郎アナウンサー。でもその言葉がプロ野球の世界にもあった。
少なくとも平成18年5月23日の千葉マリンスタジアムにはあったことだけは確かである。それくらいの好ゲームであった。