燃えろ金本
アニキと呼ばれる選手がいる。
何がどうアニキなのか、正直言って分からない時期が続いていて、自分としてもどうとらえていいのか分からなかった。
移籍1年目の彼は、つなぐ打線の象徴ともいうべき活躍で、2番の赤星を生かし、開幕時の濱中には「打点王を取らせる。」と宣言した。そう、彼がいなければ「つなぎ」も何もあったものではなかった。
『滅私奉公』という言葉がある。まさに彼はこの言葉どおりの活躍で、タイガースの躍進を支えてくれた。成績は自身としては納得できないものだったらしいが、MVPに押す声も高かったことはこの姿勢が高く評価された何よりの証拠だろう。
それでも、彼は『アニキ』と呼ばれる。一体なにがアニキなのだろう?と思っていたが、意外なところで気がついてしまった。
彼が首にしているネックレス(チタン入りのやつ?)を見たことがある方は大勢いると思う。彼が昨シーズンしていたものは赤い色のものであった。本人は否定するだろうけど、そこには故郷の広島東洋カープの赤を無意識に意識していたことも関係があるのではないだろうか。
広島東洋カープ時代にFA資格を取得したとき、権利を行使してチーム残留を望んでいた彼だったが、その球団はFA行使を認めていなかった。山本監督も彼の残留を強く望み、球団に交渉もしたがそれは叶わなかった。その年の彼は自身の成績が自分でも納得しなかったらしく、「年俸減でもかまわない、再契約金も安くていい(一部報道では、ただ同然と言われてたが)から、権利だけは行使させてほしい。」と言ったということだが、それもかなわなかった。そこに星野監督(当時)の名文句「お前はタイガースに来ることになってるんや。」とともに彼はやってきた。
まるでドラマのようだが、お互いに好きな男女(本人と山本監督)が親(球団)に仲を引き裂かれるかのような展開。タイガースに来てからも想いを忘れないためか、断ち切るためか、身につけた「赤」のネックレス。そう、彼の野球には『感謝』と『愛』があることに注目した。そうなったら彼を『アニキ』と呼ばずに何と呼ぼう。
彼が続ける連続フルイニング出場。広島時代に、山本監督と星野監督(当時:中日監督)が「一番助かる選手は・・」という話の中で、「欠場しないで出つづける選手である。」と言っていたことを耳にし、「それなら俺は欠場しない選手になろう。」と誓ったというエピソードを聞いたことがある。その誓いを胸に今まで続けてきた努力。この男気溢れる選手をアニキと呼ばずに何と呼ぼうか。
昨年の日本シリーズでサヨナラ・弾丸ライナー・ホームランをライトスタンドにぶち込んだとき、サードベースコーチは既に次期監督就任が内定していた岡田さんだった。その岡田さんが、アニキがサードを回るとき目を赤くして涙を浮かべていたそうだ。岡田さんにもタイガースへの言葉にできない気持ちがある。それを見て「次期監督が決まっている場合、ましてや自分がそうである場合、もうすぐ辞める監督の試合なんかは他人事のような顔をしている人もいるのだろうが、この人は違う。この人のためにも・・・」と岡田さんの気持ちに応えようと今シーズンは4番に座り出場を続ける鉄人。
気持ちには気持ちで応える。さらに今年はホームランの分だけファンを温泉招待という懐の深さも見せる。まさしくアニキはアニキとして、タイガースを牽引するのだろう。
首にしているネックレスの色も今シーズンからタイガース・カラーである黄色に変わった。広島への想いを今は懐の奥深くにしまい込み、タイガースへの昨年以上の強い思いが今年の彼を突き動かす。
今年も甲子園には浜風が吹く。そのなかを名曲“SAND STORM”をバックに、打席に入る。躍動感溢れるスイングと共に、アニキの愛から放たれる打球は何十本もライトスタンドをひとまたぎするのであろう。
何がどうアニキなのか、正直言って分からない時期が続いていて、自分としてもどうとらえていいのか分からなかった。
移籍1年目の彼は、つなぐ打線の象徴ともいうべき活躍で、2番の赤星を生かし、開幕時の濱中には「打点王を取らせる。」と宣言した。そう、彼がいなければ「つなぎ」も何もあったものではなかった。
『滅私奉公』という言葉がある。まさに彼はこの言葉どおりの活躍で、タイガースの躍進を支えてくれた。成績は自身としては納得できないものだったらしいが、MVPに押す声も高かったことはこの姿勢が高く評価された何よりの証拠だろう。
それでも、彼は『アニキ』と呼ばれる。一体なにがアニキなのだろう?と思っていたが、意外なところで気がついてしまった。
彼が首にしているネックレス(チタン入りのやつ?)を見たことがある方は大勢いると思う。彼が昨シーズンしていたものは赤い色のものであった。本人は否定するだろうけど、そこには故郷の広島東洋カープの赤を無意識に意識していたことも関係があるのではないだろうか。
広島東洋カープ時代にFA資格を取得したとき、権利を行使してチーム残留を望んでいた彼だったが、その球団はFA行使を認めていなかった。山本監督も彼の残留を強く望み、球団に交渉もしたがそれは叶わなかった。その年の彼は自身の成績が自分でも納得しなかったらしく、「年俸減でもかまわない、再契約金も安くていい(一部報道では、ただ同然と言われてたが)から、権利だけは行使させてほしい。」と言ったということだが、それもかなわなかった。そこに星野監督(当時)の名文句「お前はタイガースに来ることになってるんや。」とともに彼はやってきた。
まるでドラマのようだが、お互いに好きな男女(本人と山本監督)が親(球団)に仲を引き裂かれるかのような展開。タイガースに来てからも想いを忘れないためか、断ち切るためか、身につけた「赤」のネックレス。そう、彼の野球には『感謝』と『愛』があることに注目した。そうなったら彼を『アニキ』と呼ばずに何と呼ぼう。
彼が続ける連続フルイニング出場。広島時代に、山本監督と星野監督(当時:中日監督)が「一番助かる選手は・・」という話の中で、「欠場しないで出つづける選手である。」と言っていたことを耳にし、「それなら俺は欠場しない選手になろう。」と誓ったというエピソードを聞いたことがある。その誓いを胸に今まで続けてきた努力。この男気溢れる選手をアニキと呼ばずに何と呼ぼうか。
昨年の日本シリーズでサヨナラ・弾丸ライナー・ホームランをライトスタンドにぶち込んだとき、サードベースコーチは既に次期監督就任が内定していた岡田さんだった。その岡田さんが、アニキがサードを回るとき目を赤くして涙を浮かべていたそうだ。岡田さんにもタイガースへの言葉にできない気持ちがある。それを見て「次期監督が決まっている場合、ましてや自分がそうである場合、もうすぐ辞める監督の試合なんかは他人事のような顔をしている人もいるのだろうが、この人は違う。この人のためにも・・・」と岡田さんの気持ちに応えようと今シーズンは4番に座り出場を続ける鉄人。
気持ちには気持ちで応える。さらに今年はホームランの分だけファンを温泉招待という懐の深さも見せる。まさしくアニキはアニキとして、タイガースを牽引するのだろう。
首にしているネックレスの色も今シーズンからタイガース・カラーである黄色に変わった。広島への想いを今は懐の奥深くにしまい込み、タイガースへの昨年以上の強い思いが今年の彼を突き動かす。
今年も甲子園には浜風が吹く。そのなかを名曲“SAND STORM”をバックに、打席に入る。躍動感溢れるスイングと共に、アニキの愛から放たれる打球は何十本もライトスタンドをひとまたぎするのであろう。
4.15