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タテジマとファイブアローズに魅せられて

阪神タイガースはもちろん、Bリーグの香川ファイブアローズも応援中。
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壹品(いっぴん)
一体いつからこんなにタフになったんだろう。4月22日の中日戦での彼の投球はそう思わずにいられなかった。振り返れば今シーズンは内容と結果が伴わないせいもあり勝ち星を上げていなかったが防御率は試合を作っているといっても差し支えないものだ。

彼の今までの10年のうち、その大半は内容と結果が伴わなかった。年間防御率が2点台でも大幅に負け越した。年間200イニング近く投げても良くて勝ち星と負け数が一緒だったということもあった。「自分がエース!なんとかしなければ!」という強すぎる責任感のせいもあっただろう。随分長い間、打線の援護がなかったから少しでも点を取られることが負けにつながってしまう。そんな苦い経験が、ランナーを背負うと必要以上の意識をさせるからか、甘いところに投げて痛打されてしまう。そうこうしている間に11年目を迎え、投球イニングも1,500を数えた。

雨ニモマケズ 風ニモマケズ・・・

打線の援護がないという「雨ニモマケズ」、起用法に納得がいかなかったこともあるだろう「風ニモマケズ」、自分への怒りもあっただろう「雪ニモ夏ノアツサニモ」、それでも彼は中央アルプスの険しい岩場に咲く、風雪に耐えるクロユリのようにひたすら耐えてきた。その姿は「ピッチャーとは孤独なもの。」と誰かが言った言葉そのもののような孤高な雰囲気すら醸し出していた。

メンタルタフネス。精神的な強さの中には気が強いとか、困難に向かって行くという意味に加え、平常心を保つということも含まれているのだろう。4月22日の中日戦でも自らの降板後、味方リリーフ陣がランナーを背負っても動揺する気配を見せず、タオルで汗を拭きながら声を出しチームを勇気づける彼の姿は「エースとは味方を信じ、どんなときも動じないこと。」をベンチにいる他の選手に教えているかのようであった。

どっしりとした下半身、均整の取れた体格、ピッチャーとして必要なものは全て持っている選手、そう言われ続けて着けていたエースナンバー「18」は投手としては王様のような番号なんだろう。これがデビューから長く続いていた。そして背番号「4」に変え、その呪縛から逃れ、挑戦者として本当のエースへの道を歩み始めた男。2002年から勝ち星の数も負け数を上回り始めた。もしかしたら恐ろしく大器晩成な選手で、じっくりと自分を「造りこんでいた」のかもしれない。

彼の名前の中の1文字に「壹」という文字がある(壹=壱の旧字体)。語源は「壺」と「吉」とを合わせたもので、壺(お酒の壺)の中で酒が発酵していっぱい(吉)になる意味を示すという。

雨ニモマケズ 風ニモマケズ・・・・ 彼が「プロの水」を10年分使用して熟成してきた酒は大吟醸か、焼酎か泡盛か。それとも洋酒でワインかシングルモルトなのか。いずれにしても頑固なまでにここまで造りこんできた逸品も、そろそろ飲みごろを迎えたかもしれない。

蔦に覆われた酒蔵の奥から蔵元の藪恵壹が出してくるこだわりの「壹」品(いっぴん)。この贅沢な勝利の美酒は昨日の一杯だけでは終わらない。僕たちは目の前に出される贅沢な美酒をありがたく頂き、素直に「美味しい。」と微笑めばいい。その姿を見て蔵元も静かに微笑む。ただそれだけの話である。      
4月23日
| T−コラム | 19:46 | comments(0) | trackbacks(0) |









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