タテジマとファイブアローズに魅せられて

　依然として原発は心配な毎日が続き、俺が勤務する職場からも東北地方に復旧のお手伝いの人を派遣するらしい。

　被害の大きさを見ると本当に亡くなった方のご冥福と、行方不明の方が１人でも多く生存されていることを祈らずにいられない。そして復興への思いも強くなる。

　そんな中、手前勝手なこととお叱りを受けるかもしれないが、我が家にとっては一時の安心が訪れた。

　以前も書いたが、俺には東北地方に多くの親戚がいる。そして宮城県と福島県に固まっている。そんな中で今日、全ての親戚の無事が確認できた。しかも全ての親戚の建物崩壊も無かったとのことだ。

　最後に連絡が付いたのは松島の親戚だった。昨晩電気と電話が復旧したと語っていた。

　でも決して楽観できない事態もあったようだ。

　無事に生還できた親戚の中に、もう少しで津波で命を失いそうになった方がいる。

　その方は建物の３階で仕事をしていた。すると津波が襲ってきた。津波は建物の３階まで入ってきた。でも波の向きというか、それが違ったおかげで流されずに済んだ。でも胸まで水に浸かっていたそうだ。

　３階にいるのに胸まで水に浸かる恐怖といったら生きた心地もしなかったであろう。そんな状態からの生還であった。

　全てを知ったのは今日の昼休みだった。俺は東北地方の親戚全員の無事を知った電話を切った瞬間に涙が溢れて止まらなかった。それは嬉し涙というよりは、安心して力が抜けたときの涙だった。

　４０歳のオッサンの涙なんて見たくも無いだろう。仕事場で昼休みに泣いているオッサンなんて見たくも無いだろう。でも涙が止まらなかった。人には見せられないので、机に顔を伏せて寝ている振りをして泣いた。

　今は少し安心した気分だ。直接の被災者でもない俺が、親戚と連絡を取れないだけでこれほどの消耗をする。直接被災した方々のご心労はきっと俺なんかの想像を絶するものだろう。開幕することに否定的な意見が多いのも頷けるのだ。

　ウチの親戚のように無事で済んでいる人ばかりではない。むしろ未だに多くの方が大きな不安を抱えている。そんな中での生存確認だった。

　眠れない夜が続いていた。今夜も眠れるかどうか分からない。でも親戚の無事が確認できて、少しだけ野球のことを考えられるようになった。地震発生から今までは上の空だったし。

　これからの復興や被害拡大防止は本当に心配。俺は仕事で放射線を扱ったこともある（電力会社ではありません）ので放射能の長所と短所を承知しているだけにニュースを見ると心が痛む。

　繰り返し書くが、お亡くなりになった方のご冥福と、行方不明の方が１人でも多く生存されていることを心から本当にお祈り申し上げます。

　そして我が家の親戚の安否を心配してくださった方、本当にありがとうございました。