タテジマとファイブアローズに魅せられて

　２番だった平野選手を欠いた打線だったが関本選手が答えを出す。平野選手に無くて関本選手にあるもの。それは打席での粘りというか選球眼かもしれない。そりゃ平野選手も悪くないだろうけど関本選手は良いのだ。球数を投げさせる２番打者がいたって悪くない。

　交流戦ではイメージなんだけど不運な当たりなんかが多い気がする。それは気がするだけなんだけど、こういったものをもしも“運”という一文字で表現するなら今日はタイガースに運が最終的にあったということだろう。マリーンズの２点目なんて風と守備の判断が両方マリーンズに傾いた場面の典型だった気がするし、タイガースに逆転となる得点が入ったセカンドゴロの場面は逆にタイガースに運がやってきたということではないか。

　それは“エラー”とか言ってしまえば簡単である。それも事実としての一面かもしれないが、やはり“運”を無視できない。そして“運”というと悪い取り方をすれば「何もしなくてラッキーが来た！」くらいに思われるかもしれないが、そもそも物事の成功には様々な形と種類での“運”というものは必要なことであるのは誰でも知っていることだし、そして“運”を呼び込めるだけのことをタイガースがやっていたということだと思う。

　相手のミスで逆転。そして葛城選手のタイムリーで追加点。そのまま行けば良かったのだが、安藤投手の調子が戻らない。このまま逃げ切ってもリリーフ陣を考えれば勝てるんだろうけど、勝ち方として点差以上に苦しい勝ちになってしまう。そこを救ったのが林選手だ。待っていた場面で待っていた結果を出した。それはもう「おかえりなさい！」としか言いようが無い安心感と笑顔を持ってきた。これが素晴しい。

　平野選手が欠場し、登録抹消となった。この重い事実を一瞬でも忘れさせてくれた林選手の存在が大きい。

　おかえりなさい。林選手が戻ってきた。そして平野選手の欠場で失われたものとは別物であるが、勝利へ導く何かがタイガースに１日で戻ってきた。それらをひっくるめて“Welcome back”なのだ。