タテジマとファイブアローズに魅せられて

　投手戦といえばそうだろうけど、全体的に攻めあぐねもあったのかなぁ？スッキリしないようでしているようで、微妙な雰囲気に支配されがちだった。

　それでも７回の投手リレーは素晴らしく、江草投手が２アウトを、１人のランナーを置いた場面で渡辺投手が確実に討ち取って「０」を刻んだ。江草投手も良かったのだが、やはり渡辺投手の常態が安定している様子は心強いものだ。

　助演男優たちは今日も素晴らしく、２点目を叩き出した葛城選手も、代打でヒットの光信選手も結果を出した。

　林選手がいたら今のような出番は無かったかもしれない。葛城選手は１試合も１軍で出番が無かった年もあるし、光信選手はトライアウトを経て入団してきた。どちらも選手生命の終わりを意識した選手だ。こういった選手が生き残りと恩返しの気持ちでグランドにたっている。そして対戦相手はそういった匂いを出さないチーム。これで燃えないほうがおかしいだろう。

　話を安藤投手に戻す。この投手の潜在能力は疑うものではなく、それがなかなか顕在化しないだけでリリーフも先発も何でも出来る選手と俺は思っていた。それが今年は怪我もあり出遅れ。しかし前回の登板では勝ち星は付かないがいきなりの結果を出した。オープン戦も経験せずにである。

　この能力がどこで開花するかが注目だったのだが、今日はそれを少し証明した。そう、少し証明しただけだ。

　やっと帰ってきた。ヒーローインタビューで少しだけ言葉を詰まらせた安藤投手が帰ってきた。“座るべき場所”の首位にタイガースが帰ってきた。強くて強くて、でも愛すべきタイガースが首位に帰ってきた。

　今の１位は確かに現時点での１位である。当然ながら追いかける立場と追われる立場の違いはある。

　２００５年に優勝したとき、壇上で岡田監督は「忘れ物を取りに」と言葉を発した。その忘れ物を今度こそ取り返すために、だからこそここが終わりじゃなくてまだまだチャレンジャーとして明日も明後日も。

　ダントツの首位ではない。３位まで１．５ゲーム差に詰まっている状態の首位である。でもタイガースは首位で居続けることが出来る実力がある。このままどこまでも戦っていくしかないのだ。

　この首位を盤石にするために、明日も目の前の勝利のために戦おう。