タテジマとファイブアローズに魅せられて

　しかしアニキのプライドにはいつもいつも驚かされる。プライドといっても高慢とかではない。口にした以上は絶対にやるというプライドっていうよりも表現としては矜持と言ったほうが正しいか？そんな感じだ。

　プロ入り初ホームランおめでとう！これからももっと打ってくれよ！の桜井選手の一発の前の走塁なんて実際にそうじゃないかな？あの激走は桜井選手を相当楽にしたと思う。１，２塁ではワンヒットでも飛んだ場所によってランナーがホームに帰るかどうか分からないが、１，３塁なら外野フライでも犠牲フライになる。この差はきっと凄く大きいんじゃないかな？その場面で外野フライの更に上の結果を出した桜井選手には本当におめでとうと言いたいし、アニキの走塁にも賛辞を贈りたい気持ちで一杯だ。

　何が一体変わったんだろう？今は凄く普通に強いチームのゲームができている。相手のエラーで出たランナーを返すことが出来ている。ヒットで出たランナーを返せる。下位打線でもチャンスを作れる。江草投手が他の選手が出したランナーを返さなくなった（でも自分で失点した）。少しずつだが結構変わって来ているっていうか、戻ってきている。

　多くの人が「大丈夫かなぁ？下手すりゃ終わるぞ。」と不安に思っていたこの７月の嫌らしい連戦を２カード連続で勝ち越した。今だってチームの調子は良くないのだ。打撃が上がらない選手がレギュラークラスに何人もいて、ローテーション投手に怪我人が続出して。でもこういった試合で勝ちを拾えるんだから、俺なんかが思っている以上にタイガースの地力はあるってことなんだろう。

　プライドなんてものは時として邪魔をしたりする。悪い方向に行けば謙虚さが無くなり、自惚れや過去の実績に胡坐をかいちゃったりもする。でも良い方向に作用すれば「このままでいいはずが無い。」って感じで奮起させる方向にもなる。

　今のタイガースには良い方向に作用させる触媒としてアニキがいて、広大選手や庄田選手のように必死に出番に眼を輝かせる選手がいる。そして驚異的な進化を続ける林選手がいる。そして地味だけど油断が出来ない野口さんのような陰の実力者もいる。こういった選手が命綱となってタイガースを支えているのだ。

　タテジマに流れるプライド。猛虎とはよく言ったもので、野生の本能のままに戦う姿、グランドであげる咆哮にここ数試合は力が漲ってきた。

　未だタイガースには怪我人や不調の選手が多い。でもだからといって悲観することは無いのではないだろうか？手負いの獣は危険極まりない。しかし手負いのままでは終わらない。今は手負いでありながらもしっかりと復調後の猛虎の姿を見据えることが出来るのだから。